鼻出血は鼻粘膜血管の外傷やキ弱性、粘膜の炎症、血流の急激な変化などによる血管破裂または血液凝固障害によって生じます。出血の70〜80%は、病気と関連のない原因不明確な出血で特発性鼻出血と呼ばれ成人で多く見られる原因の一つです。鼻を強くかんだ時とか、くしゃみや咳などがきっかけで一過性に脈圧が上昇する事に因ります。出血部位の大部分は鼻の正中にある左右のしきり(鼻中隔)の前方です。小児の原因の大部分は指性鼻出血と言い、指で鼻をほじったり擦ると粘膜に傷がつき出血し、痂疲(カサビタ)が付き、それがはがれ反復性の出血を生じます。鼻副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎があると鼻汁による刺激やはなの痒みのため鼻をこすります。また粘膜外傷が治癒するとき粘膜表面に血管が形成される場合がありそれが出血の原因になります。また急性上気道炎に伴う鼻出血も多い原因です。高血圧の人では血圧が高いから出血するわけではなく、血圧の急激な変化が起こると出血の原因となり、鼻出血は重症化や反復しやすくなります。その他の原因として血小板減少症、血友病、白血病、悪性貧血、再生不良性貧血、von Willebrand病などの血液疾患、オスラー病、肝硬変、抗凝固剤や非ステロイド性消炎剤など薬物、鼻・副鼻腔や上咽頭の腫瘍などがあります。治療は原因疾患の治療と出血部位の治療が必要です。凝固機能や貧血の血液検査や出血部位の確認のため内視鏡検査をする事もあります。通常の出血では化学薬品や凝固装置で局所を焼灼止血しますが不十分な時にはガーゼを挿入し圧迫止血を2〜3日間行い止血剤、抗ヒスタミン剤、抗生物質、消炎剤などを服用します。重症の場合は手術が必要なこともあります。指性鼻出血の小児では指の爪を切る、就寝前に手袋を着用し前鼻孔に軟膏塗布します。鼻出血に際して、応急処置として試みる方法は座位で頭部をやや下げ鼻翼(子鼻)を親指と人差し指で5〜10分間程度強くつまみ口で呼吸します。血液は飲まず吐き出すようにし、首を叩いたりしないことが大切です。何れにしても反復する鼻出血の場合は一度診察を受けた方が宜しいでしょう。

 

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