嗅(きゅう)覚障害は、生命に直接影響はありませんが、食品の腐敗、ガス漏れ、煙・火災に気ずかない、味覚の変化、調理など日常生活に種々の支障をきたします。        においは鼻の中のどこででも分かるわけではなく、鼻腔天蓋(びくうてんがい)付近にのみ、においを感知する細胞(嗅細胞)があります。ニオイ分子が吸気により鼻内に入り嗅細胞を刺激し、その信号が脳内に伝わり、ニオイとして認知されます。従って、この経路のどこかで障害があると、嗅覚障害が出現します。

 嗅覚障害の原因は鼻・副鼻腔炎感冒(ウイルス)頭部外傷が大部分をしめその他に薬剤の副作用有害物質の吸入頭蓋内疾患があり高齢になると原因不明も多くなります。   まずは嗅覚機能検査、内視鏡検査、画像検査(レントゲン、CT、MRI)を行い障害部位と程度を確定します。 障害のなかでも嗅細胞の障害と、鼻腔通気障害によるものが改善し得ます。嗅細胞は4週間のサイクルで変性と再生を繰り返しており細胞再生と空気の通過障害を改善することを治療の目的とします。原因となっている疾患の治療とステロイドホルモン剤の点鼻療法が主体になります。

 また欧米ではアルツハイマー病が他の症状に先立ち早期に嗅覚障害を出現するためスクリーニング検査として嗅覚検査が利用されています。                   食物の味に占める嗅覚の役割は大きく、嗅覚障害の半数の人が風味障害(口腔で感知される味と香りと一体になった感覚を風味という)を訴えます。本当に味覚が障害されているかどうかは味覚検査を行うことで分かります。味覚障害は薬剤性、亜鉛欠乏など様々な原因があり調べて治療します。

 

基準嗅覚検査 種々のニオイと強さの嗅素を鼻内に噴霧し検査します

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