味覚は生活の質を保つ上でとても重要です。味覚障害は近年増加しております。それは高齢化による薬剤性味覚障害が増えたことと食生活の変化による亜鉛不足が要因と言われております。味覚を感知するには食べ物が唾液と混じり、口腔(主として舌)の味蕾にある味細胞が刺激され、その信号が味覚神経延髄大脳皮質へと伝わり味として認知されます。従ってこの経路のどこかで支障が生ずると味覚障害となります。また味蕾の細胞は短期間で再生を繰り返しており再生には亜鉛が必要です。味覚障害の原因には、薬剤性(亜鉛欠乏や薬そのものによる障害)、食物からの亜鉛摂取不足(通常の食事で必要量がやっと満たされているにすぎない)、全身性疾患(肝疾患、腎疾患、糖尿病、消化器疾患、胃切除後、シェーグレン症候群など)、口腔内疾患(舌炎、舌苔付着、口腔乾燥)、風味障害(主に副鼻腔炎や感冒後の嗅覚障害に起因)、心因性(精神的ストレス、うつ病)、そのほか慢性中耳炎や中耳手術後、脳血管障害などがあります。 診断と治療を行う上で味覚機能検査は最も重要な検査でこれには弱い電流を口腔粘膜に流し酸味が感ずるかどうかを判定する電気味覚機能検査と甘味、塩味、酸味、苦味の4種の基本味質液を5段階濃度で用意し濾紙に浸し舌におき検査する濾紙ディスク法があります。次に血液中微量元素の測定(亜鉛、銅、鉄)、肝・腎機能検査、唾液分泌機能検査、嗅覚検査などを行い原因と障害の程度を判断します。治療は薬剤性なら変更や減量をおこない、亜鉛欠乏症には亜鉛の内服治療を味覚検査と血清亜鉛値を定期的に測定しながら行います。その他各疾患に対する治療を行います。また検査で異常を認めない突発性味覚障害にも亜鉛内服を行います。

 

電気味覚機能検査 口腔粘膜に弱い電流を流し分かるかどうかを判定 濾紙ディスク法 甘味などを浸した濾紙を舌の表面で分かるかどうかを判定

 

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